斎藤一とはどんな人?生涯・年表まとめ【愛刀や子孫、功績も紹介】

斎藤一は新撰組の三番隊隊長を務め、組内で最強の剣士の一人と謳われた人物です。その腕前は「沖田は猛者の剣、斎藤は無敵の剣」と評される等、現在でも高く評価されています。斎藤は新撰組の隊長として多くの活動に関与した他、戊辰戦争では旧幕府軍として新政府軍と戦い、明治維新後は警察官となりました。

53歳の頃の斎藤一
出典:Wikipedia

とはいえ、「るろうに剣心」に登場するなど高い知名度がある一方、生まれや経歴は不明な事も多いでしょう。近年では「斎藤一」の顔写真が判明する等、少しずつ素性も明らかになってきました。今回は新撰組を敬愛する筆者が、斎藤一の知られざる素顔や経歴に迫っていきたいと思います。

この記事を書いた人

Webライター

吉本 大輝

Webライター、吉本大輝(よしもとだいき)。幕末の日本を描いた名作「風雲児たち」に夢中になり、日本史全般へ興味を持つ。日本史の研究歴は16年で、これまで80本以上の歴史にまつわる記事を執筆。現在は本業や育児の傍ら、週2冊のペースで歴史の本を読みつつ、歴史メディアのライターや歴史系YouTubeの構成者として活動中。

斎藤一とはどんな人物か

名前斎藤一 (藤田五郎など)
誕生日天保15年(1844年)1月1日
没日大正4年(1915年)9月28日
生地江戸
没地東京市本郷区(現・文京区)
配偶者篠田やそ(先妻)
高木時尾(後妻)
埋葬場所阿弥陀寺(現・福岡県会津若松市)

斎藤一の生涯をハイライト

新撰組の隊旗
出典:Wikipedia
  • 天保15年(1844年) 斎藤一誕生
  • 文久3年(1863年)新撰組に入隊し、三番隊隊長になる
  • 元治元年(1864年)池田屋事件
  • 慶応3年(1867年) 御陵衛士入隊 油小路事件
  • 慶応4年(1868年) 戊辰戦争で各地を転戦
  • 明治2年(1869年)戊辰戦争終結 斎藤は斗南藩領の五戸に移住
  • 明治7年(1874年)東京に移住し警察官となる
  • 明治10年(1877年) 西南戦争に明治政府側として参戦
  • 明治25年(1892年)警察官を退官
  • 大正4年(1915年) 死去(享年72歳)

謎多き新撰組の3番隊隊長

新撰組の屯所だった八木邸
出典:Wikipedia

斎藤は謎多き新撰組の隊員の中でも特に謎に包まれています。斎藤が新撰組の前身・壬生浪士組に入隊したのは文久3年(1863年)です。間もなく新撰組が発足されると斎藤は最年少で幹部の副長助勤に就任。後に三番隊隊長を務めました。

新撰組は京都の治安維持に活躍。斎藤は池田屋事件の応戦に関与し、新撰組内部の粛清役を数多く務めています。後に新撰組参謀の伊東甲子太郎が新撰組と「分離」して御陵衛士を結成。その時に斎藤は御陵衛士に入隊しています。

これは新撰組と袂を分かったのではなく、御陵衛士のスパイとして活動する為です。後に斎藤は新撰組に復帰し、御陵衛士の方針などを新撰組に報告。後に伊東は新撰組に暗殺され、斎藤は終生「裏切り者」の汚名を被る事になります。

戊辰戦争の変遷(斎藤は会津戦争まで参戦)
出典:Wikipedia

やがて旧幕府軍と新政府軍との間で戊辰戦争が勃発した時、斎藤は旧幕府軍として参戦。鳥羽伏見の戦いや会津戦争を最前線で戦います。

斎藤は仙台に転戦した旧幕府軍と異なり会津に残留。最後まで新政府軍に抵抗を続けました。会津藩が新政府軍に降伏後、斎藤は会津藩主・松平容保の説得により投獄。斎藤は最後まで幕府に忠義を尽くしたのです。

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愛刀は「鬼神丸国重(きじんまるくにしげ)」

斎藤一の愛刀は鬼神丸国重(きじんまるくにしげ)とされます。情報源は京都の壬生の刀研ぎ師である源龍斎俊永による「会津守護職様御預新撰組御一等様御刀改控」ここに新撰組32人の刀の銘と状態が克明に記されており、斎藤の刀は以下の通り。

摂州住池田鬼神丸国重 二尺三寸一分 刃毀レ小サク無数

摂州とは現在の大阪府池田市付近であり、池田鬼神丸国重とは江戸時代中期に活躍した刀匠です。この刀は天和二年(1682年)に作られたもので、二尺三寸一分は現在の単位では70cmほど。鍔や柄を含めれば約1mと推測出来ます。

この記録は池田屋事件の2日後のもの。無数の刃こぼれは激しい戦闘で生じたものでしょうか。池田屋事件は1864年であり、斎藤がなぜ180年前の鬼神丸国重を所有していたのかは不明です。ちなみに鬼神丸国重は現存しません。

また斎藤が鬼神丸国重を本当に所有していたか近年では疑問視されています。新撰組局長の近藤勇は「大坂の刀工の刀は用いるな」と述べており、大阪の刀は実用性に欠けていたともされます。斎藤は素性だけでなく、刀についても謎に包まれているのです。

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