戦国時代に生きた女性の悲惨さを象徴する3つの出来事
戦国時代において、過酷な境遇だったのは身分の高い女性だけではありません。ここでは、戦国時代の庶民女性を襲った悲惨な出来事を3つ紹介します。
- ①「乱取り」で誘拐される
- ②奴隷として兵士や商人に辱められる
- ③戦乱により虐殺される
庶民女性は、戦が起きた土地にいただけで上記のような被害を被りました。命に対して身分は関係ありませんが、庶民女性の方が被害数は圧倒的に多いです。彼女たちがどんな理不尽な仕打ちを受けたのか詳しく見ていきましょう。
①「乱取り」で誘拐される
戦国時代では、戦乱の最中に兵たちが敵国の人間や金品・物品を奪う「乱取り」が頻繁にありました。当時は農作物の不作による飢饉がよく起こっており、人々は常に金銭を必要としていたのです。農民である下級兵士にとって、戦場での乱取りは生きる糧だったといえます。
多くが人身売買で奴隷として売られ、労働力として使役されました。兵士たちが敵と戦わず金銭目当てに乱取りばかりするため、乱取りを禁止する命令を出した戦国大名もいたほどです。
乱取りでは、連れ去りやすいことから、多くの女性が被害に遭いました。冒頭で述べた「戦の戦利品」となった女性は大半が乱取りによるものです。女性たちは1人につき平均約2貫(20万円)で売られ、中にはわずか20銭(2千円)で売り払われた人もいます。
②奴隷として兵士や商人に辱められる
人身売買で奴隷として売り飛ばされた女性の中には、兵士や商人に辱められる人もいました。戦国時代にはすでに遊女が集う「女屋」が設立されています。乱取りに遭った女性の中には「女屋」へ売られ、遊女になった人もいるでしょう。
また、奴隷として売られる先は日本人の家とは限りません。当時日本に来航していたポルトガル商人へ売られた女性もいました。彼女たちは商人の船に連れて行かれ、航海中は性欲処理のような扱いをされたといいます。
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③戦乱により虐殺される
戦国時代では戦乱の際に大勢の人々が亡くなりましたが、中には凄惨かつ悲惨な虐殺によって命を奪われることもありました。特に有名なのは「一向一揆」における虐殺です。
一向一揆とは仏教の宗派である浄土真宗を信仰する人々による反乱であり、浄土真宗の信者が多い近畿地方や北陸地方で起こりました。一向一揆は戦国武将たちを悩ませましたが、織田信長などの戦略に優れた武将によって厳しく鎮圧されたのです。
しかしながら、信長の一向一揆鎮圧は非常に残酷でした。約2万人の女や子供を焼死させたり、逃げた人々を男女問わず殺害するなど徹底的に人々を虐殺したのです。対象が女性や子供であろうと例外はありませんでした。
戦国時代に生きた女の悲惨さに関するまとめ
今回は、戦国時代に生きた女性たちの悲惨な境遇を、現代に伝わる逸話や残酷な出来事も交えて紹介しました。
戦国の世は戦が当たり前の時代です。現代の私たちから見れば理不尽きまわりないことでも、当時の女性たちは当然のように受け入れていたことが史料から分かります。
彼女たちは戦国時代という極めて過酷な時代を精一杯生き、悲惨な運命も覚悟して受け止めていたのです。この記事を読むことで戦国時代に生きた女性の悲惨さと彼女たちの強さを理解し、戦国時代を新たな目線で見ることができれば幸いに思います。