18位:「耳をすませば」の裏話
耳をすませばは、1995年に公開された作品。読書の好きな少女・月島雫と、図書貸し出しカードで目にする天沢聖司との出会いを描いた作品。漫画家の柊あおいが「りぼん」に連載していた作品であり、漫画とジブリ映画で設定は少々異なります。
原作の天沢聖司は、バイオリンを趣味にしておらず、絵画を趣味にしています。留学するという話もなければ、小説の執筆に月島雫がそれほど葛藤する様子も見られません。
実は漫画はあまり人気がなく、4話で完結しています。作品の一部を読んだ宮崎駿が、物語を膨らませて作られたのがスタジオジブリの「耳をすませば」です。宮崎駿は本作品の意図を「自分の青春に痛恨の悔いを残すおじさん達の、若い人々への一種の挑発である」と述べています。
青春を生きる若者達に、後悔なく青春を生きてほしい。宮崎駿はこの作品にそんな意味を込めました。ちなみに天沢聖司の声優は、当時青春の渦中にいた14歳の「高橋一生」。月島雫が作中で作詞した「カントリーロード」を実際に作詞したのは、月島雫と年齢の近かった鈴木麻実子であり、宮崎駿が補作しています。
本作に青春特有の甘酸っぱさと、リアリティが共存しているのは、実際に青春を謳歌する人達が制作に関与しているため。大人になってから作品を見ると、また違った印象を抱くのではないでしょうか。
17位「魔女の宅急便」の裏話
魔女の宅急便は、1989年に公開された作品。13歳になった魔女の少女・キキが、修行のため知らない街に出て独り立ちする物語。ジブリとしては4作品目にあたり、動員数はラピュタの77万人、トトロ/火垂るの墓の80万人を大幅に上回る264万人。ジブリの知名度と人気を、押し上げる作品となりました。
作中のキキは魔法が使えなくなり、愛猫・ジジの声が聞こえなくなります。その後、飛行船から落ちかけたトンボを救うため、キキは再び魔法が使えるようになりますが、このクライマックスは鈴木敏夫プロデューサーの判断で付け足されたものです。
また本作品の製作会社の一社は、「クロネコヤマトの宅急便」で有名な宅配便会社大手の「ヤマト運輸」。理由として、宅急便という単語をヤマト運輸が商標登録していたためです。当初、ヤマト運輸は製作参加に消極的だったものの、黒猫が作品に登場する事を知り、参加にやる気になったそうです。
裏話としては、ピアスの存在も欠かせません。作中の女性達はモブキャラを含め、多くの人達がピアスをしています。一説では、赤いピアスは「経験済」、黄色いピアスは「ピュアな恋愛関係」という説が濃厚です。
キキはピアスをしておらず、トンボと恋愛関係にないと推測されます。その代わり、キキは赤いリボンをしていますが、このリボンは思春期の暗喩という説も濃厚。本作品は多感な思春期の女の子の心理も巧みに描いており、リボンやピアスさジブリからのメッセージなのかもしれません。