8位:「猫の恩返し」の裏話
猫の恩返しは、2002年に公開された作品。女子高生・吉岡ハルが猫男爵・バロンに連れられて猫の国に向かうストーリー。原作は、耳をすませばの作者・柊あおいが宮崎駿のリクエストで執筆した「バロン 猫の男爵」です。
本作は、「耳をすませばの月島雫が執筆した小説」という位置付けで、事実上のスピンオフ。ただ宮崎駿は「探偵モノ」を望んでいたものの、柊あおいは「女子高生が猫の国に迷い込んだお話」を執筆します。結果的に宮崎駿は監督から降り、森田宏幸が監督となりました。
明るくドタバタな内容ですが、実は漫画版の「バロン 猫の男爵」では、猫の世界は「死後の世界」という設定です。またバロン男爵は本物の猫ではなく、耳をすませばの設定に準じ「猫の人形」です。古来から日本では、長い年月を経た道具に魂が宿るという風潮があり、バロンもそれに近い存在と言えます。
スタジオジブリでは猫の恩返しと同時に、ハウルの動く城の制作も進めていました。猫の恩返しはジブリ作品と銘打ちつつ、スタッフは別物。それでも紛れもなくジブリ映画であり、森田宏幸は役割をしっかりと果たしたと言えるでしょう。
7位:「となりのトトロ」の裏話
となりのトトロは、1988年に公開された作品です。田舎に引っ越してきたサツキとメイ姉妹が、子供の頃にしか出会えない不思議な生き物・トトロとの出会いを描く物語。舞台は昭和30年代です。
本作の都市伝説として有名なのは、作中でサツキとメイは既に死んでいる、トトロは死神などが挙げられます。しかし監督の宮崎駿は、この説を明確に否定。そもそもエンディングに作品のその後が描かれており、入院中の母親も家に戻っています。
本作のモチーフは宮崎駿の過去の体験。幼少期に見て育った神田川、自宅のある所沢と様々な風景が混ざり合ったものです。一応、太古に人間とトトロ族の争いがあり、作中のトトロはその生き残りという構想がありましたが、その案は頓挫。このプロットは「平成狸合戦ぽんぽこ」にも反映されています。
ジブリの代表作として抜群の知名度を誇る「となりのトトロ」ですが、実は放映は「火垂るの墓」と同時。リアルタイムでトトロをみた子供の中には、火垂るの墓との落差に衝撃とトラウマを与えられたケースも多かったようです。