14位:「君たちはどう生きるか」の裏話
君たちはどう生きるかは、2023年に公開された作品。太平洋戦争中、母親の死をきっかけに田舎に疎開した眞人が、人語を話す青サギと「下の世界」へ向かうストーリー。タイトルは吉村源三郎の小説「君たちはどう生きるか」に由来します。
本作は宮崎駿が10年ぶりに手がけており、過去作品のオマージュが散りばめられています。例えば大叔父が作る異世界には、もののけ姫に登場するコトダマのような存在が登場します。
また作中で大叔父は眞人に「13個の穢れていない石がある。3日に1つずつ積み上げて世界の均衡を維持する自分の役目を引き継いで欲しい」と述べました。13という数字は、宮崎駿が今まで手がけた作品数と一致します。
本作は公開までほぼ情報が開示されなかった異例の作品。ただ鈴木敏夫プロデューサーは、仮に宣伝ができたなら、「悪意」という言葉を使いたかったとの事。「悪意に満ちている世の中で、君達はどう生きるか」。宮崎駿は様々なオマージュを通し、私達に伝えたいものだと思われます。
13位:「コクリコ坂から」の裏話
コクリコ坂からは、2011年に公開された作品。佐山哲郎が1980年に「なかよし」で連載した作品が元になっています。1963年の横浜を舞台に、16歳の女子高生・海の恋愛や友情を描いています。
本作では、高度経済成長期の労働争議や学生運動なども作中に登場します。1990年代にも映画化が検討されたものの、当時は学生運動も過去の話ではなかったため、代わりに「耳をすませば」が映画化されました。
宮崎駿が本作品で伝えたかった事は、古い価値観が失われる時代において、過去の積み重ねも大切にする事。作品製作期間中の2011年3月11日、日本では東日本大地震という私達の価値観を塗り替える出来事が起こりました。
本来ならスタジオも計画停電で休業するはずが、宮崎駿は「こんな時だから作るんだ」と皆に声をかけ、勤務体制を調整して製作を続行しました。本作からは、宮崎駿のアニメーターとしての覚悟と矜持が伝わってきます。