6位:「借りぐらしのアリエッティ」の裏話
借りぐらしのアリエッティは、2010年に公開された作品です。古い家で人間の物を借りながら台所の下に住む小人族・アリエッティと、人間の少年・翔との出会いを描いた作品。1952年に出版されたイギリス小説「床下の小人たち」を原作としています。
映画では、アリエッティ一家は新たな住処を求めて旅立つところで終わります。そのため、彼らがどうなったのか、翔の病気が治ったのかは不明です。ただ原作にはその後があり、一家はトラブルの末に牧師館に辿り着き、平穏に暮らします。
一方、病気だった翔に該当する少年は原作には登場しません。病気で亡くなったという説もあるものの、冒頭のナレーションで翔がアリエッティと出会った事を回想しており、翔は生きていると思われます。
本作のテーマは「人間と小人、どちらが滅びゆく種族なのか」。病気の翔と、既に地球上で滅亡寸前の小人族。滅びゆく運命にある両者が、出会った事で生きる意味を見出していく。きっと小人族も翔も、新たな地で懸命に生き続けているはずです。
5位:「風立ちぬ」の裏話
風立ちぬは、2013年に公開された映画です。ゼロ戦の設計者・堀越二郎と、作家の堀辰雄をモデルに、1930年代の日本で飛行機作りに情熱を注ぐ青年を主人公にした作品です。
原作は2009年に宮崎駿が連載していた「風立ちぬ」。元は映画化する予定はなく、戦闘機好きな宮崎駿が趣味で執筆していたもの。宮崎駿は過去の作品で、何度も反戦を訴えていたものの、実は戦闘機が好きという自己矛盾を抱えていました。
プロデューサーの鈴木敏夫は、その矛盾に答えを出すため、宮崎駿に作品の映画化を勧めたのです。そのため、宮崎吾朗は本作を「戦争を糾弾するものでも、零戦の優秀さを示すものでもない」と述べています。
本作は、堀越二郎や堀辰雄、ジャンニ・カプローニ伯爵と数多くの実在人物をモデルとしています。更に結核の療養先が軽井沢であるなど、大人でもある程度の知識がないと不明な点が多く、ジブリとしては異例の作品。宮崎駿が描きたいものを描いた作品として観ることをお勧めします。