4位:「崖の上のポニョ」の裏話
崖の上のポニョは、2008年に公開された作品です。魔法の力で人間の女の子に返信した魚の子「ポニョ」と、5歳の人間の男の子「宗介」の交流を描いた作品。元のポニョはカエルでしたが、いつしか設定は魚に変わります。
本作で特筆すべきは、圧倒的な絵コンテの数。作画の総数は千と千尋の神隠し133分24秒の144,043枚に対し、崖の上のポニョは100分54秒の170,653枚。CGも使わず、手書きで作画されています。
またポニョの本名は「ブリュンヒルデ」。北欧神話で、戦争と死の神であるオーディンに仕える女性の半神・ワルキューレの1人です。本作は北欧神話以外に人魚姫などもモデルとなっています。
モチーフの多くが「死」に関係しており、ポニョも作中で洪水が起きた後の世界は「死後の世界」を表しているようです。宮崎駿が制作中に聞いていた音楽は、リヒャルト・ワーグナーが作曲した楽劇「ワルキューレ」。音楽からも、ポニョこ裏設定を感じる事ができます。
3位:「ハウルの動く城」の裏話
ハウルの動く城は、2004年に公開され作品です。呪いで90歳の老婆にされた少女・ソフィーと、魔法使いハウルの物語。イギリスのファンタジー小説「魔法使いハウルと火の悪魔」が原作ですが、後半は原作になかった戦争の場面が付け加えられています。
ソフィーには「命を吹き込む魔法」が備わっており、原作では言及がなされているものの、映画ではソフィーは無自覚なまま。その理由は宮崎駿が、魔法使いではなく普通の女の子が冒険をする物語にしたかったため。自分自身の考え方の違いで、物事は変わるという事を宮崎駿は伝えたかったものと思われます。
またハウルは浮気性という裏設定があり、城が動き続けているのは、一つの場所にとどまっているとトラブルを起こすため。ただ浮気性になった理由は、カルシファーに心臓をあげて、心が不安定になっているためとされます。
実はハウルとソフィーは運命の相手であり、ハウルはずっとソフィーを探し続けていました。本作はソフィーの成長物語であると共に、恋愛を描いたロマンチックな作品でもあります。2つのテーマを描き切る宮崎駿の手腕は流石というところでしょう。