かつて海洋生物学者が救ったイルカが数週間後に戻ってきた―その要求に彼女は呆然とした

第11章 国際シンポジウム

サラの研究は国際的な注目を集め、オーストラリアで開催される海洋生物学シンポジウムでの基調講演を依頼された。シドニーの会場には、世界中から研究者が集まった。サラは緊張しながらも、自信を持って発表した。「イルカは単なる知的動物ではありません。彼らは自己認識を持ち、計画的に行動し、そして異種間コミュニケーションを試みる能力があります」スクリーンに映されたあの日の映像は、聴衆を魅了した。講演後、立ち見が出るほどの質疑応答セッションとなった。潮目が変わり始めていた。科学界が、サラの研究を真剣に受け止め始めたのだ。