シェイクスピアとはどんな人?生涯・年表まとめ【作品や名言も紹介】

1611年 – 47歳「『テンペスト』」

『テンペスト』は、シェイクスピアが単独で執筆した最後の戯曲であるとされている。

『テンペスト』

シェイクスピアはこの年、ロマンス劇と称される『テンペスト』を執筆。この作品はシェイクスピアが単独で執筆した最後の戯曲であると言われており、同時に「シェイクスピア作品の中で、最も独創的な作品」という評価を受けています。

これ以降、シェイクスピアによる戯曲は急速に少なくなっていき、ジョン・フレッチャーとの合作だとされる史劇『ヘンリー8世』と喜劇『二人のいとこの貴公子』が1613年に発表されて以降、彼は表舞台から遠ざかっていくことになりました。

1613年 – 49歳「故郷に隠居していたらしい記録が残る」

シェイクスピアが晩年を過ごしたニュー・プレイスは、当時のストラトフォード=アポン=エイヴォンで2番目に大きい邸宅だった。

故郷に隠居し、余生を送る

この年、ジョン・フレッチャーとの合作である『二人のいとこの貴公子』が発表されて以降、シェイクスピアは国王一座を引退。ストラトフォード=アポン=エイヴォンに購入していた邸宅、ニュー・プレイスに引っ込んで、妻と共に余生を送り始めました。

また、この年の6月に『ヘンリー8世』がグローブ座で公演された記録が残っていますが、その公演の最中にグローブ座は焼失。翌年に建て直されたことが記録に残っています。

娘に宛てた遺言書の修正を行う

娘のことを思いやっていたシェイクスピア

国王一座を退団して以降、元々少なかったシェイクスピアに関しての記録は、更に少なくなっていきます。晩年のシェイクスピアに関する記録は、次女のジュディスに関する裁判記録しか残っていません。

ジュディスの婚約者であったトマス・クワイニーが婚前交渉の容疑で起訴され、その原告だった女性がクワイニーの子を産んだと主張。ほどなくしてその子と共に死亡するという事件が起こったのです。これを受けたシェイクスピアは、ジュディスに宛てた遺言書の内容を修正し、クワイニーに自身の遺産が与えられないようにしたのだといいます。

子や孫に対しての記録が残っていないシェイクスピアですが、これは数少ない「シェイクスピアが自分の子供たちを思いやっていた」という証明だとも言えるでしょう。

1616年 – 52歳「故郷の地で静かにこの世を去る」

シェイクスピアが眠る、ホーリー・トリニティ教会。洗礼を受けたその場所で、シェイクスピアは眠りについた。

最優の文学者、静かにこの世を去る

1616年の4月23日、シェイクスピアは自宅で52年の生涯に幕を下ろしました。死因などの記録は残っていませんが、腐ったニシンから感染症にかかってしまったことが死因であると言われています。

彼の遺体は、その死の二日後にホーリー・トリニティ教会に運ばれ、その内陣に埋葬を受けました。高額納税者だったからこそのその措置でしたが、劇作家として多くの人々を魅了したシェイクスピアは、奇しくも自らの生まれた日に、洗礼を受けたその場所で眠ることとなったのです。

シェイクスピアの墓碑には、

Good friend, for Jesus’ sake forbear,
To dig the dust enclosed here.
Blest be the man that spares these stones,
And cursed be he that moves my bones.

訳するに

良き友よ、主の名によりて、
ここに眠る遺骨を掘り起こすことなかれ。
この墓石を動かさざる者に祝福を、
わが骨を動かす者に呪いあれ。

と、シェイクスピア自身が書いたと思われる墓碑銘(エピタフ)が刻まれており、現在も名所として親しまれています。

また、シェイクスピアの墓の中には、未発表の作品の原稿が副葬品として納められていると噂されていますが、墓碑に刻まれた言葉通り、それが確かめられたことは現在まで一度もないようです。

1623年 – 死後7年「『ファースト・フォリオ』が刊行される」

2014年、フランスの図書館で発見された、当時出版された『ファースト・フォリオ』

『ファースト・フォリオ』

シェイクスピアがこの世を去ってから7年が経過したこの年、国王一座時代の同僚だったジョン・ヘミングスとヘンリー・コンデルによって、シェイクスピアの戯曲集『ファースト・フォリオ』が刊行されました。

この出版に際しての、当時の市民からの評価については記録が残っておらず不明ですが、時を経た2014年に、フランスの図書館から当時の『ファースト・フォリオ』が発見されたことは、一躍話題となりました。

この全集には、シェイクスピアの作品かどうか疑われていた『ペリクリーズ』を除く全ての作品が治められており、現在でもシェイクスピア研究者にとっては、一線級以上の価値がある資料となっています。

シェイクスピアの関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

ロミオとジュリエット

シェイクスピア作品の中でも、おそらくもっとも有名な作品の一つです。あらすじなどは今更語るまでもなく、お互いの家の事情に翻弄される男女の悲劇が描かれています。

話の筋が比較的わかりやすく、何よりセリフ回しがロマンチックで美しいのが最大の特長。非常に多くの世代に刺さるだろう作品ですので、シェイクスピア初心者の方にお勧めいたします。

夏の夜の夢

『ロミオとジュリエット』とはまた違った、どこかファンタジーでライトノベルチックな、不思議な世界観の中の恋愛劇です。

若干古めかしい部分は散見されますが、どことなく現代的でユーモラスな作品として、肩ひじを張らずに読むことができるシェイクスピアにしては珍しいタイプの作品だと言えるでしょう。ライトノベルやゲーム好きの方は、この作品からシェイクスピアに触れることをお勧めいたします。

マクベス

四大悲劇の一角に数えられる、シェイクスピアらしさ満載の悲劇作品です。

人間の心理を巧みに穿つような難しさがある作品ですが、長さ自体はそれほどでもないため、「四大悲劇入門」としてはちょうどいい作品だと思います。シェイクスピアらしい作品に挑戦してみたい場合は、この作品か『オセロー』をお勧めいたします。

【24年1月最新】シェイクスピアをよく知れるおすすめ本ランキングTOP8

おすすめの映画

ヴェニスの商人

名作と名高い『ヴェニスの商人』を、市川猿之助、中村倫也、高橋克実らが原典に比較的忠実に舞台化した作品です。

現代の価値観で見れば物議をかもす内容ですが、とにかくキャスト陣のレベルが高く、飽きのこない舞台作品となっています。シェイクスピアの戯曲を、本来の楽しみ方で楽しみたい場合はぜひご覧ください。

関連外部リンク

シェイクスピアについてのまとめ

数多くの優れた戯曲や詩を残し、現在でも「最もすぐれた作家の一人」という栄誉を受け続けているウィリアム・シェイクスピア。

しかしそんな有名がある一方で、シェイクスピアという人物そのものにまつわる記録は非常に少なく、彼自身の生涯は非常に多くの謎に満ちている印象がありました。

漫画作品『7人のシェイクスピア』に代表されるように、様々な風説が現在もささやかれているシェイクスピアという人物の生涯。現代の技術力がそんな謎を明らかにしてくれる日を、私も一シェイクスピアファンとして、楽しみに待ちたいと思います。

それでは、この記事におつきあいいただき誠にありがとうございました。この記事が皆様に、何か一つでも学びを残せていればそれ以上の光栄はありません。

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