黒澤明の作品に影響を受けた人物たち
黒澤の作品に影響を受けた人は数知れません。ごく一部ではありますが、その中の何人かを紹介しましょう。
スティーヴン・スピルバーグ
世界で最も有名な映画監督の1人であり、「E・T」や「インディ・ジョーンズ」、「ジョーズ」などが有名です。彼は黒澤に影響を受けた事を公言しており、特に影響を受けた作品として「天国と地獄」と「影武者」を挙げました。
スピルバーグは前述した「夢」の総指揮を務めています。前作の「乱」が興行収入的には赤字で、夢の資金繰りに難航した時に、製作協力を申し出たのがスピルバーグでした。
2018年にはスピルバーグの製作会社が「羅生門」をTVシリーズで再録しています。スピルバーグの黒澤に対するリスペクトは何年経っても色褪せる事はないのです。
ジョージ・ルーカス
「スターウォーズ」や「インディ・ジョーンズ」を手がけた監督です。彼は「(黒澤明)は自分の人生と作品にとてつもなく大きな影響を与えた」と述べています。彼の作品には随所に日本文化の影響が表れていますが、それは黒澤の影響です。
彼は黒澤の作品「影武者」の国際版の総指揮を務めた他、1990年のアカデミー賞授賞式で、スピルバーグと共に名誉賞のオスカー賞を黒澤に贈りました。
宮崎駿
「ジブリシリーズ」や「未来探偵コナン」などのアニメ作品を手がけた、アニメ界の巨匠です。彼は黒澤を尊敬し「私は黒澤監督の前では一小僧に過ぎない」とも述べています。特に「七人の侍」に特に影響を受けたようですね。
1993年には両者の歴史的会談が実現しています。その時の会談では映画論などではなく、セットや小道具など、実に細かい点を楽しそうに語っています。携わる分野は異なれど、彼らの映像に対するこだわりは共通するものがあったのです。
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北野武
お笑い芸人にして日本を代表する映画監督。1997年には「HANA-BI」が40年ぶりに金獅子賞を受賞しています。彼は黒澤の作品自体に影響をあまり受けてはおらず、幼少期に観た作品は「力道山物語」「二等兵物語」「鉄道員」などごくわずかです。
黒澤と北野は、宮崎と同じく1993年に会談をしています。まだ北野が世界的に有名になる前ですが、黒澤は北野の作品を「(作中に)余計なものがないから好き」と高く評価しました。
更に黒澤は北野に「映画界は北野君に任す。個性のある映画を作ってください」と手紙を送っています。これらの激励が北野を奮い立たせ、様々な名作を生み出した事は間違いありません。
尾田栄一郎
少年漫画「ワンピース」の作者であり、「最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ」のギネス記録保持者です。尾田の趣味は映画鑑賞で、黒澤の映画にも影響を受けています。
ワンピースは「ルフィが仲間を集めてひとつなぎの秘宝」を探す物語です。尾田はワンピースの大筋は「七人の侍」に影響を受けた事を公言しています。「ワノ国編」では数多くの侍が登場する等、随所に黒澤の影響が見られます。
黒澤明の作品や映像論は、今後も多くの人々に多大なる影響を与える事でしょう。