有名な事件をテーマにした実話映画5選
戦艦ポチョムキン
映画史上に輝くクラシック作品として、数々のオマージュを捧げられたことのあるこの作品は、1905年、第一次ロシア革命の最中に起きた、黒海艦隊の戦艦ポチョムキンの乗組員による反乱を描いた映画です。ロシアはまだ日露戦争を続けるつもりでしたが、この事件をきっかけに断念することになりました。
サイレント映画ですが、映像と音楽だけでグイグイと世界観に引き込まれます。有名な「オデッサの階段」のシーンは、手に汗が滲むほどの緊迫感です。セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督はこの作品でモンタージュ理論を確立したとされ、これ以後の映画界に多大な影響をもたらしました。
マネー・ショート 華麗なる大逆転
リーマンショックを見抜き、経済破綻が起きることを予見してCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という取引を使い、巨額の利益を得た4人の個性的なトレーダーたちを描いた物語です。クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、ブラッド・ピットという豪華なキャスト陣も注目を集めました。
難しい金融用語もたくさん出てきますが、リーマンショックの裏で何が起きていたのかを知るにはとても良い映画です。聴き慣れない言葉が多くてストーリーに置いていかれそうになったら、まずは吹き替えでチャレンジしてみてください。俳優陣の、レベルの高い演技合戦も見ものです。
日本で一番悪い奴ら ※R15+
2002年に起きた稲葉事件をモチーフにした映画です。諸星という警察官が「正義のため」裏社会と繋がりを持つものの、エスカレートして徐々に悪事に手を染めていく様を、主演の綾野剛が圧倒的な熱量で演じ、後半は特に目を離せないシーンの連続でした。
白石和彌監督は、諸星は結果的に間違った方向に進んでしまったけれども、自分は良かれと思ってその時々の判断を下していたわけで、その瞬間を生きる真摯さを大切にしようという話をした上で撮影していたそうです。確かに、映画の中の諸星はとにかく楽しそうで、悲しい結末なのに笑えてしまうという不思議な作品でした。
タクシー運転手 約束は海を越えて
1980年、韓国で起きた光州事件の取材をしたいドイツ人記者と、その記者を厳戒態勢の光州へタクシーに乗せて行く運転手の物語です。光州事件は韓国の近代史を語る上で欠かせない事件ですが、この映画が高く評価されたことで、多くの人が関心を持つきっかけになりました。
ソン・ガンホという韓国の国民的俳優と、数多くの戦争映画に出演経験があるドイツの俳優トーマス・クレッチマンが共演したことでも注目を集めました。また、光州事件を正面から扱わず、ドイツ人記者とタクシー運転手の掛け合いを軸にストーリー展開していることが、映画の敷居を低くして幅広い観客層を呼んだように思います。
Fukushima 50
2011年東日本大震災で起きた大津波が福島第一原子力発電所を襲い、メルトダウンの危機に直面します。その時に原発内にいて、まさに「命がけ」で戦い続けた作業員50人を中心にした物語です。
東日本大震災からまだ9年しか経っておらず、いまだ故郷に帰れないでいる人がいる上、原発問題を扱うこともあり気を遣うテーマではありますが、主演に佐藤浩市、共演に渡辺謙を迎え、若松節朗がメガホンを取ったことでメジャー級の映画になり、多くの人が観る機会を得られたことが素晴らしいと思います。
2020年3月6日より劇場公開しています。