最近公開された注目実話映画5選
MOTHER マザー
実際に起きた少年による祖父母殺害事件から着想を得て、大森立嗣監督が映画化した作品です。シングルマザーとその息子との歪んだ親子関係を描いたもので、母親役を長澤まさみが演じ、息子役にはオーディションで選ばれた新人の奥平大兼が抜擢されました。
どんな親と子供であっても、そこには二人だけの愛情関係があるものです。この映画の親子はそれが間違った方向へいってしまったがために悲劇が起きてしまったのでしょう。「毒親」については社会問題にもなっていますが、この映画を通して考えてみるのもいいかもしれません。
2020年7月3日に劇場公開予定です。
薬の神じゃない!
この映画は、中国で2014年に起こった「陸勇事件」というニセ薬事件を元に作られました。貧しさから高価な薬が買えず、ジェネリック薬を密売してほしいと持ちかけられ、警察に追われながらも密売を拡大していく先には何が起きたのか、映画でぜひ観て欲しいと思います。
中国では2018年に公開されましたが、興行収入500億という大ヒット映画になりました。映画作品としても評価が高く、国内外の映画賞を多数受賞しています。2020年10月に日本公開予定です。
ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜
1998年長野オリンピック、スキージャンプ・ラージヒル団体で金メダルに輝いた栄光の影にいた、25人のテストジャンパーたちの物語です。テストジャンパーは惜しくも選手に選ばれなかった人たちで、大会で選手が安全に飛べるかどうかを実際に飛行して証明してみせることを仕事にしています。
長野オリンピックでテストジャンパーたちが何をしていたのか、あの金メダルはどうやって掴み取ることができたのか、この映画で語られる真実をぜひ観てみたいと思います。そして田中圭をはじめ、山田裕貴、眞栄田郷敦、土屋太鳳、古田新太と、熱量の高い役者陣が揃っていることも楽しみです。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、公開日未定となっています。
オフィシャル・シークレット
2003年、イラク戦争の開戦前に起きた「キャサリン・ガン事件」を映画化した作品です。イギリスGCHQの職員であったキャサリン・ガンが、NSAからのメールをリークしたことで政府に告発された事件です。21世紀の事件ですが、日本ではほとんど報道されず、知らない人も多いのではないでしょうか?
イラク戦争を止めようと立ち上がった誇り高き女性、キャサリン・ガンを演じたのはキーラ・ナイトレイです。自身もキャサリンのことはほとんど知らなかったそうですが、これは多くの人に知ってもらうべき話だと思い、引き受けたそうです。予告編からは、彼女の女優としての覚悟も感じられます。
新型コロナウイルス感染拡大のため、公開延期になっています。
HOKUSAI
葛飾北斎が絵師としてどうやって生まれたのか、柳楽優弥主演で作られた映画です。葛飾北斎といえば「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」で描いた「波」が世界的にも有名ですが、その「波」が絵の中で生まれた瞬間も描かれます。
葛飾北斎の老年期を田中泯が演じるのも楽しみですが、北斎に多大な影響を与える柳亭種彦には永山瑛太が、喜多川歌麿には玉木宏がキャスティングされ、阿部寛は北斎を支える蔦屋重三郎役に抜擢されました。脂の乗った俳優陣の演技合戦も見どころでしょう。
2021年公開予定です。
実話映画に関するまとめ
これはぜひ観てみよう!と思った作品はありましたか?
実話映画の面白さは、実際に起きた事件を監督や俳優がどう切り取るかという点にあります。
どれだけ凄惨な事件でも、そのどこかに共感できるものを見出してそれを映画として成立させられたなら、それはただ酷い事件というだけではなく、悲しい人間の性に同情する思いや、救いとなる一筋の光が見えてくるものです。そしてそれは、これからを生きる私たちへの助言や戒めになるでしょう。
2020年以降も魅力的な実話映画が多数制作され、公開を待っています。映画という芸術として楽しむことはもちろん、生きる上での糧をも得ることができる実話映画を、これからもぜひたくさん堪能してください。