小説ヲタクがおすすめするオールタイムベスト83冊

西洋美術史とは?アートの歴史を年表順にやさしく解説

14. 表現主義 – 1890 ~ 1920

ムンク《叫び》

– 「目に見えない」ものを主観的に強調する

「表現主義」という言葉は広義ではゴッホ、ゴーギャンによって始められた反自然主義的な手法を指し、狭義ではドイツの表現主義のことを指すことが一般的です。

ドイツ表現主義では、内面的、感情的、精神的なものなど「目に見えない」ものを主観的に強調しました。

ムンクは「叫び」によって、叫びというものを、それまでにない別のものに変えてしまった。人々は、常にムンクの絵の中にある独自の直感と情感を共有することになる。

ベン・シャーン

– 活躍した画家

  • ムンク(ノルウェー)
  • マルク(ドイツ)
  • カンディンスキー(ロシア)
  • ミューラー(ドイツ)

15. フォーヴィスム – 1905 ~

マティス《ダンス I》

– 色の解放。野獣的で大胆な色使い

フォーヴィスムの由来は「野獣」という意味の「フォーヴ」です。1905年にパリで開催された展覧会で、マティスらの作品を見た批評家・ヴォ―クセルが

あたかも野獣の檻の中にいるようだ。

ヴォ―クセル

と評したことから命名されました。
 
画面に原色の鮮やかな色彩を生かそうとすれば、当然描き方は荒々しいタッチになります。荒々しいタッチで書けば形が大胆にデフォルメされるのは当たり前のことです。
 
けれども、画面構成を重んじるフランス的伝統を壊すことはありませんでした。フォーヴィスムは短期間でしたが、後の絵画に革命をもたらす数多くの画家がこの運動に参加していました。

– 活躍した画家

  • マティス(フランス)
  • ドラン(フランス)
  • マルケ(フランス)
  • ヴラマンク(フランス)

16. キュビスム – 1908 ~

ピカソ《アヴィニョンの娘たち》

– 「かたち」の概念の解放

キュビスムはピカソが『アヴィニョンの娘たち』を描いたことから始まりました。この作品をピカソのアトリエで見せられたブラックは、戸惑いつつも大きく心を動かされ制作を始めることになります。
 
キュビズムという名は、ブラックの風景画『レスタックの家』が小さなキューヴ(立方体)の集まりに見えたことからつけられました。
 
ピカソのキュビスム時代は若い頃のほんの一瞬です。それでも後の作品に大きな影響を与えました。

大部分の画家は、まずちょっとしたケーキの型を作る。あとは、もっぱら同じケーキ作りに励むってわけだ。それで満足してちゃ、ろくなものじゃない。画家にとって最悪の敵はスタイルだ。

ピカソ

– 活躍した画家

  • ピカソ(スペイン)
  • ブラック(フランス)
  • レジェ(フランス)

– パブロ・ピカソ – 1881 ~ 1973

パブロ・ピカソ《ゲルニカ》

パブロ・ピカソ(1881-1973)はスペインのマラガで生まれ、フランスで制作した芸術家です。 油絵、素描(白黒のみで描かれた完成形のデッサン)、版画、彫刻など、総計で生涯におよそ14万以上の作品を世に送り出し、その功績から多くのメディアで「最も多作な芸術家」だといわれています。実際にその作品数はギネス記録にも認定されました。

しかし、『ゲルニカ』や『アヴィニョンの娘たち』といったピカソの名作は、素人にはどう上手いのかわかりません。以下の記事を読んでみると、ピカソの芸術家としてのすごさが理解できるでしょう。

ピカソとはどんな人?生涯・年表まとめ【性格や死因、作品、名言についても紹介】 パブロ・ピカソをよく知れるおすすめ本9選【自伝から画集、歴史まで】

ピカソが「ゲルニカ」で戦争を扱っていながら、血塗れの絵を描かないのは立派だ。この絵は黒と白だけで戦争の全てを語り尽くしている。素晴らしいアイデアだ。

ムンク

私はものとしての主題は信じない。信じるのは、象徴を用いて表現されたテーマだ。ゴヤは「5月3日」でそれをやっている。ずっと昔から、頭蓋骨で死を表現するというのもあった。

ピカソ

ピカソの作品は、こちらの美術館をはじめ世界各国の美術館に収蔵されています。

17. エコール・ド・パリ- 1910 ~

モディリアーニ《男の肖像》

– パリに集結した個性派外国人芸術家たち

エコール・ド・パリとは「パリ派」という意味です。彼らは世界各地からパリのモンマルトルやモンパルナスに集まり、カフェをサロンがわりにしてお互いを刺激し合いました。

モンマルトル(パリの地名)は、日本でいうところの下北沢?のような場所で、当時のパリのカルチャーの発信地でした。

形式ばかり崇めるこの時代はどこに行ってしまうのだ。我々の狂気こそ迎えられるべきだ。形の上だけではない根本的な革命!私をファンタスティックなどと呼ばないでほしい。私はリアリストなのだ。

シャガール

– 活躍した画家

  • シャガール(パリ)
  • モディリアーニ(イタリア)
  • ユトリロ(フランス)
  • 藤田嗣治(日本)
  • スーティン(リトアニア)

18. 抽象芸術 – 1920 ~

カンディンスキー《いくつかの円》

– 風景やモチーフからの解放

抽象主義の画家たちは、絵画の目的は何かを写したり再現することではないと考えました。綺麗な風景の絵や肖像画は何かのコピーで、絵そのものでは自立していないと主張し、重要なのは精神性、芸術家の内面を表現することだとしました。

カンディンスキーは音楽を感じさせる絵画、自然の束縛から解放された内面的な体験、内的感情を表現する絵画を目指しました。

(絵画は)具体的な対象や主題がなくても色彩と形だけで自立できる。

カンディンスキー

– 活躍した画家

  • カンディンスキー(ロシア)
  • マルク(ドイツ)
  • クレー(スイス)

西洋美術史の魅力

西洋美術史の魅力は何でしょうか?複雑なことは抜きにして筆者の考える魅力をまとめます。

1. 教養が身に付く

ここ2年ほど、日本でも西洋美術史に関する注目が上がっているように感じます。木村氏の「世界のビジネスエリートが身につける教養『西洋美術史』」、山口氏の「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか」などの書籍に代表されるように、ビジネス書と関連した新書も多数出ています。

これは世界、特にアメリカのアートシーンの流れが影響しているのでしょう。グローバルなビジネス社会ではアートについて理解できていないと会話すらできないとされています。筆者は「『教養』としての美術」というのはあまり好きではないですが、1つの魅力ではあるのではないかと考えています。

2. 作品を見る目が変わる

「歴史がわからないとただの落書きに見えてしまう」ということはよく起こります。例えばマルセル・デュシャン『泉』を見ても、知識がないと「だからなに?」となってしまいます。

マルセル・デュシャン《泉》

しかし『泉』がこれまでの美術史に対するアンチテーゼであることを知れば、何を訴えたかったものなのかはわかります。もちろん、だからといってこの作品のことが「すごい!」「好き!」かというと別の話ですが、ただ「理解」はできるのです。

理解ができることで、よりいっそう鑑賞が面白くなることは間違いありません。

西洋美術史の関連作品

おすすめ書籍

この記事を書くために参考にした書籍で、面白かったものを紹介します。

巨匠に教わる、絵画の見かた

読みやすさ満点、初心者向けの書籍です。イラストや挿絵がふんだんに使われていて、難しい言葉も少なめです。

絵画に関心があるけれど、どのようなことから手を付ければいいのかわからないという人や、絵の見方の例を知りたいという人にはもってこいの1冊です。電子書籍がないのが、もったいないくらいです。

鑑賞のための西洋美術史入門

書籍のタイトルからしてちょっと堅そうな感じがしますし、表紙もちょっとダサいから期待していませんでしたが、読んでみてびっくり!とてもわかりやすく、しかも細かい情報が詰まっています。この本を読んで本当に実物が見たくなりました。好奇心を掻き立てられるⅠ冊です。

世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」

教養としてのアートを学びたい人には良書です。 タイトルの通り「教養」として学ぶならアリな書籍です。ただ活字がとても多いのと、カラーでもないので、読むのが辛い部分はあるかもしれません。「絵をもっと理解したい」「名画を理解したい」という人にはあまり向かないでしょう。

逆にいうとそのような書籍ばかりを読んできた人には、「その時代にその絵画が生まれた歴史的背景」がわかるので面白く感じるかもしれません。少なくとも筆者はそうでした。

世界美術大全集

がっつり学ぶならやっぱりこれです。学校や公共の図書館に置いてあるような全集です。実際に筆者の家の近くの図書館には所蔵されていました。

はっきりいって他の数千円で買える書籍とは次元が違います。まとめている情報量が桁違いです。本腰を入れて学びたい人にはおすすめです。

西洋美術館

とにかく実物が見たくなります。古典から近代美術までまとめられています。

書籍にしては比較的高価な3000円というお値段ですが、その価格にも納得できます。お子さまなどいるご家庭には、1冊置いておいても教養本として活躍するのではないでしょうか。

世界の美術家 その生涯と作品

画家の生涯を知りたいならこの1冊です。西洋美術史全体を学ぶための書籍としては最適ではありませんが、画家自身の歴史、つまり生涯を覗きたいなら間違いありません。

長い西洋美術史の中で指折りの画家をピックアップして、その生涯をたどり、作品を解説したシンプルな構成の本です。

西洋美術史を学べる書籍をもっと知りたい人のために、以下の記事で書籍をまとめて紹介しています。ご覧ください。

インターネットの歴史がわかる本7選【IT初心者から上級者まで】西洋美術史・絵画史のおすすめ本13選【入門から上級まで】

西洋美術史に関するおすすめ動画

The History of Art in 3 Minutes

英語なんですが上手くまとまってます

西洋に限らずですが、美術史をかなり簡潔にまとめた動画です。英語ですがYoutubeは字幕をつけられるので、問題なく見られます。ざっくりと簡単に知りたい人はおすすめです。

【山田 五郎】絵画を引き寄せる!「ざっくり西洋絵画史」

山田さんの語り口調が聞きやすい

山田五郎氏が『ざっくり西洋絵画史』という書籍を出版したときのラジオ?の音声を録音した動画です。「今の美術は高尚・崇高すぎる」「本来はもっと気軽に楽しむものである」という山田氏の論調は非常に共感するものがあります。

終わりに

この長〜〜い記事を最後までお読みいただきありがとうございました。筆者自身この記事を書くことで大変な学びとなり、アートをより好きになりました。

今までは単純な見た目で「この絵、なんかいいな」「すっごいうまいなぁ」といった尺度で良し悪しを判断していましたし、その感性を否定するつもりもありません。その感性にプラスして美術史が重なることで、より一層の深い感動や楽しみがあることを知れました。この記事を読んでいただいたあなたもそんな感動を味わっていただけたら幸いです。

それでは良いアート体験を!

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Q1:ルネサンス期の三大巨匠といえば、ダヴィンチ、ミケランジェロ、最後の一人は誰?

 ③ラファエロ

Q2:バチカンにあるシスティーナ礼拝堂の巨大な天井画『最後の審判』を描いたミケランジェロ。自身のことを「画家」とは呼ばずになんと呼んでいた?

 ②彫刻家

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2 COMMENTS

ごろごろ五郎

あれ?ジョットと記されている絵がチマブーエになってませんかー。

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レキシル編集部

> ごろごろ五郎さん
ご指摘ありがとうございます。
修正させていただきました。

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