芹沢鴨はどんな人?生涯・年表まとめ【暗殺の背景や愛刀、子孫も紹介】

芹沢鴨の子孫は今も健在?

芹沢鴨の生家とされた場所(近年は疑問視されている)
出典:芹沢鴨生家跡(行方市・旧玉造町) 新選組の筆頭局長・芹沢鴨生家跡

「芹沢鴨の子孫」については詳しくは不明です。芹沢は妻子がいたものの、浪士組に加入する前に離別していたとされます。この記述は芹沢と仲の良かった永倉新八が「新選組顛末記」に遺しており、事実と思われますが詳細は不明です。

ネット上では芹沢鴨の子孫として、昭和後半に弁護士となった芹沢力雄氏が浮かび上がります。ただ彼は芹沢鴨の直系ではなく「芹沢家本家の当主・芹沢貞幹」の一族です。

前述した通り、芹沢鴨は「芹沢貞幹の三男」ではなく「本家の芹沢家から分家した芹沢又衛門の子供」という説が有力視されています。つまりネット上で提唱されていた芹沢力雄と芹沢鴨の血縁関係には大きな隔たりがあると言えるのです。

また芹沢は神職の下村祐の家に養子入りした時に、下村嗣次と名乗りました。嗣次には常親という子がいたとされますが「常親=離別した子」とは限りません。常親は1844年生まれで芹沢が12歳の子になる為、矛盾するからです。

芹沢鴨の子孫は不明ですが、あちこちで女性に手を出してきた男です。もしかしたら「知られていない芹沢の子孫」がどこかにいるのかもしれませんね。

芹沢鴨の功績

功績1「神道無念流の使い手だった」

神道無念流の構えの1つ 一足立ち
出典:神道無念流は桂小五郎も学んだ日本最強の剣術

芹沢鴨は危険な男でしたが、それ以上に卓越した剣術の腕前でした。芹沢は「神道無念流」の免許皆伝を受けています。神道無念流は江戸時代中期に福井兵右衛門により開かれた流派で、幕末に広く諸藩に広まった流派でした。

神道無念流の使い手は芹沢鴨だけでなく、新撰組二番隊隊長の永倉新八、新撰組の内部抗争で暗殺された伊東甲子太郎、維新三傑の桂小五郎や、大河ドラマの主人公になった渋沢栄一などがいます。

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芹沢の剣術の腕前は相当でした。力士と乱闘騒ぎになった時には力士の分厚い脇腹を刀で突き刺して殺害。沖田総司らと共に多数の力士を死傷させています。

新撰組はやがて「壬生の狼」と呼ばれ、倒幕派の志士達を震え上がらせます。その所以は卓越した剣術で、暗殺対象者を逃さない点にありました。芹沢が局長筆頭に就任した事で、壬生浪士組の存在感はより大きくなったと言えるのです。

功績2「八月十八日の政変で活躍する」

政変の起きた堺町御門
出典:Wikipedia

芹沢は乱闘狼藉を働くだけでなく、しっかりと成果を残しています。それが文久3年(1863年)8月18日に起きた「八月十八日の政変」です。これは会津藩や薩摩藩の勢力が、過激な攘夷を主張する長州藩の志士達や公家達を京都から追い出した政変です。

この時に壬生浪士組は御所の警備の為に出動したものの、会津藩士達は彼らの事を知りません。御門の前で、会津藩士と壬生浪士組による押し問答が続きました。

芹沢は一切ひるむ事なく、会津藩士の前に進みます。会津藩士は芹沢を槍で芹沢を突こうとするものの、芹沢は「愛用の鉄扇」で槍をはじき、悠然と門を通っていきました。人々は芹沢の豪胆さに驚いたとされます。

結果的に「八月十八日の政変」は芹沢の活躍もあり、長州藩と過激な公家は京都から追い出されます。一説ではこの功績が認められ、壬生浪士組は新撰組の隊名を与えられたとされますが、資料は存在しません。本格的に新撰組と名乗るのは9月25日の事でした。

功績3「近藤勇・土方歳三が台頭するきっかけを作る 」

近藤勇
出典:Wikipedia

芹沢鴨が壬生浪士組で局長筆頭として君臨したのは僅か半年。芹沢は壬生浪士組が新撰組になる直前にこの世を去りました。芹沢の新撰組としての功績は「近藤勇に局長の座を明け渡した事」にあるかもしれません。

芹沢鴨の一連の乱暴狼藉から分かる通り、当初の壬生浪士組は素行の悪さや風紀の乱れが目立ちました。芹沢の死、もう1人の局長である新見錦の切腹を経て、近藤勇が局長に就任。

近藤は新撰組の風紀の引き締めのために、鉄の掟である「局中法度」を制定。これに背いた者は切腹、粛清、暗殺の対象になります。更に切腹の介錯は新人隊士に委ね、人を平然に斬れる人材を作り上げていきました。

言い方は悪いですが「芹沢鴨の死」は新撰組の新たなスタートでした。新たな新撰組を作る踏み台になった事こそが、芹沢の最大にして最期の役割だったのでしょう。

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