“料理をしたい気持ちが湧く”ご飯がおいしそうな小説3選
八朔の雪 みをつくし料理帖
読んでみて
高田郁の『みをつくし料理帖』シリーズは、江戸に出てきた料理人・澪が料理を通して人々を幸せにしていく姿を描いた時代小説です。2009年に第1作『八朔の雪』が出版され、2014年の第10作『天の梯』で完結しました。2018年には特別巻の『花だより』が発表された人気シリーズです。
享和2年の水害で両親を亡くし、天涯孤独の身となった澪は、大阪の名店・天満一兆庵の女将に助けられ奉公することになります。店主の嘉兵衛に才能を見込まれた澪は3人で江戸に出ることになるのですが…上方の味付けと江戸の人々の好みが合わず、最初は苦戦するのですがその努力する姿が美しいです。巻末には作品に出てきた料理のレシピも写真付きで載っていて、実際に作るのも楽しめます。
みんなのレビュー
展開がわかりやすく、キャラクターも立っているので、ある程度安心して読めました。茶碗蒸しは元々上方のお料理なんですね。簡単で美味しいので大好きです。美味しいごはんが食べたくなる
引用元:読書メーター
キャベツ炒めに捧ぐ
読んでみて
井上荒野の『キャベツ炒めに捧ぐ』は、東京の小さな町の商店街にあるお総菜屋さん「ここ家」を舞台にした連作短編集です。それぞれの短編は、店を切り盛りする3人の女性の視点で交互に描かれています。
にぎやかなオーナーの江子、むっつりとした雰囲気の麻津子、新入りの郁子、みんな60歳を過ぎた「アラ還」の女性です。それぞれに悲しい過去や割り切れない思いを抱えていますが、みんなでたくさんお惣菜を作って、喋って笑って楽しく生きています。季節の食べ物を使ったとびきり美味しそうなお惣菜の数々に、思わずお腹がすいてくる作品です。
みんなのレビュー
四十九日のレシピ
読んでみて
『四十九日のレシピ』は、ドラマ化・映画化もされた伊吹有喜の小説です。伊吹の2作目の小説で、「レシピ」という言葉には「料理の作り方」という意味のほかに「処方箋」という意味も込めたといわれています。そのタイトルどおり、死者を弔った後の家族に料理が優しい処方箋として効いていく作品です。
突然妻を亡くして気力を失っていた主人公・熱田良平のもとに、金髪ギャルメイクの女の子・井本が訪ねてきます。亡くなった妻・乙美は生前井本に四十九日までの家事を頼んでいて、さらに夫にはある「レシピ」を残していました。そんなところに、東京での結婚生活が破綻してしまった熱田家の1人娘・百合子が帰ってきて…残された夫と娘、2人の傷ついた心が乙美の人生を知っていくことで癒えていく様子は、何度読んでも感動を覚えます。