小説ヲタクがおすすめするオールタイムベスト83冊【ジャンルや感情、気分別に紹介】

“人間の怖さを見たい”ときにおすすめイヤミス3選

ユートピア

読んでみて

デビュー作『告白』で読者に衝撃を与えた湊かなえ。その「イヤミスの女王」の作品のなかでも「心理サスペンスの決定版」といわれるのがこちらの『ユートピア』です。「ユートピア」とは「理想郷」という意味ですが、ここには凄まじい理想郷が描かれています。

美しい海辺の街・鼻崎町で、地元に長年住んでいる菜々子、転勤族の妻・光稀、陶芸家のすみれの立場の違う3人が出会ったことから物語は始まります。車いす生活を送る菜々子の娘・久美香の存在を機に3人はボランティア基金「クララの翼」を設立したのですが、徐々に価値観のずれが際立ち始め、歯車が狂っていきます。やがてこの町で起こった「事件」の存在が明らかになるのですが…穏やかな印象の冒頭から不穏な雰囲気に様変わりしていく様子は圧巻で、「善意」というものについて考えさせられます。

みんなのレビュー

瓶詰の地獄

読んでみて

夢野久作は1889年生まれの小説家で、著作に日本三大奇書の1つといわれる『ドグラ・マグラ』があります。ここでご紹介する『瓶詰の地獄』は1928年に発表された掌編ほどの短い作品ですが、「イヤミスの古典」と呼べると考えています。イヤミスという言葉が生まれたのは最近ですが、後味の悪いミステリーは昔からあったのです。

とある海岸で見つかった瓶詰の手紙には、漂流の末行きついた無人島に閉じ込められた兄妹が、禁断の恋に陥り狂気に侵されていく様子が記されていました。読んでいくうちに「あれ?」と思う箇所がいくつもあると思います。近年の「イヤミス」よりも後味の悪さは控え目ですが、色々な解釈を考えてしまううえその解釈のどれもがぞわっとする、という意味で名作です。

みんなのレビュー

彼らの変化を過去に遡っていく方法で明らかにしていくことで、幻想的かつ神秘的な謎に満ちた作品になっている。掌編作品でこれだけの作品世界を創り出せる技量に驚くばかりである。

引用元:読書メーター

殺人鬼フジコの衝動

読んでみて

『殺人鬼フジコの衝動』は真梨幸子(まりゆきこ)の代表作で、50万部を超えるベストセラーとなった作品です。続編には『インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実』があります。長く映像化は不可能とされてきましたが、2015年には尾野真千子の主演でドラマにもなりました。

物語は少なくとも十数人を殺した伝説の女「殺人鬼フジコ」の伝記という形で進んでいきます。フジコは11歳のとき、家族全員が殺されただ1人の生き残りとして叔母の下で育ちました。一時はその悲劇を乗り越え、人生を拓いていこうとしていた彼女はなぜ「殺人鬼フジコ」となってしまったのか…残酷な描写も多いですが、あっと驚く展開に手が離せなくなること間違いなしの作品です。

みんなのレビュー

イヤミスの傑作!読みたくないほど胸糞なストーリーだが不思議とページをめくる手が止まらない。最後はイヤミスらしいラストで、読後感最悪だがすきな作品。もう読みたくないけど、読み返さなくても頭から離れない衝撃ストーリー。オススメしづらいがオススメ笑。

引用元:読書メーター

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