小説ヲタクがおすすめするオールタイムベスト83冊【ジャンルや感情、気分別に紹介】

“歴史に思いを馳せたい”ときにおすすめ歴史小説5選

燃えよ剣

読んでみて

歴史小説といえば!という問いで誰もが思い浮かべるだろう作家・司馬遼太郎。数々の名作のなかでも、この『燃えよ剣』はファンからの人気がとても高い作品です。2020年には岡田准一の主演で映画化されています。

幕末に活躍した新選組の副長・土方歳三の生涯を丹念に描いた作品です。「バラガキのトシ」と呼ばれ喧嘩と女遊びに明け暮れていた青年時代から、新選組の結成、そして戊辰戦争から死に至るまで、土方の生き方はまさにこの『燃えよ剣』というタイトルに現れています。司馬の歴史観は「司馬史観」と呼ばれるほど独特ではありますが、史実そのままではなく土方歳三という男の「生きざま」を知るのにもってこいの小説です。

みんなのレビュー

土方歳三一代記。司馬が描く土方像は、徳川に忠義を尽くすというよりは、目の前の喧嘩にただ勝つという刹那的な生き方をした人。政治に目覚めてゆく近藤勇と、それを冷ややかに、そして悲しく見つめる土方との対比が鮮やか。

引用元:読書メーター

西行花伝

読んでみて

辻邦生の『西行花伝』は、平安時代から鎌倉時代にかけて生きた、歌人であり僧侶の西行の人生を描いた歴史小説です。天皇家を警護する「北面の武士」でありながら、その地位を捨てて出家し、自分の追い求める「歌の道」を進んでいった1人の男の生きざまが丹念に描かれています。

物語は西行の人生を客観的に記すのではなく、知人たちそれぞれの主観から見た西行の姿を描いています。1章ごとに異なる語り手が登場するのですが、読んでいると私たちがそれまで日本史の教科書で名前や1、2首の和歌しか知らなかった人物の息づかいが聞こえてくるように感じられます。実際に著者は西行の知人に会ったのではないか…などファンタジックな考えが浮かんでくるほど、確かな筆力が私たちを西行の隣へと引っ張っていきます。

みんなのレビュー

とても丁寧に創りこんでいて 言葉の一つ一つが命を謳歌する、してる とてもとても勿体なくて ゆっくりゆっくりと文字を拾い 500ページ強を10日間かけてユックリと歩いた この先、折りにふれ読み返す本が一つふえた

引用元:読書メーター

風林火山

読んでみて

井上靖の『風林火山』は、武田信玄に仕えた武士・山本勘助を主人公に戦国時代を描いた歴史小説です。これまでに5度もドラマ化され、2007年には大河ドラマの原作ともなりました。1969年には三船敏郎の主演で映画化もされています。

物語は山本勘助と武田信玄を中心に展開されるのですが、圧巻なのが武田信玄の側室・由布姫の存在です。戦国の世を女性が生き延びるにはこのくらい気高くなくてはならなかったのだ、と思わず背筋を正してしまいます。人間ドラマとしての要素が強い小説なので、日本史に疎くても楽しめるはずです。

みんなのレビュー

テンペスト

読んでみて

少し雰囲気の違う歴史小説を読んでみたい人は、池上永一の『テンペスト』はいかがでしょうか。19世紀の沖縄、つまり琉球王朝を舞台にした小説で、仲間由紀恵の主演で映画や舞台になっています。総ページ数1800ページのかなり長い小説ですし、世界観を飲み込むのに時間がかかるかもしれませんがはまると一気に読んでしまいます。

主人公の真鶴は、誰よりも賢く聡明なのに女性というだけで学問を許されずに不満に思っていました。ところが跡継ぎ候補だった兄が亡くなり、真鶴は「孫寧温」と名前を変え、さらに性別を変えて王府の役人として生きていくことになります。主人公はまさに波乱万丈な人生を送るのですが、平行して琉球王朝が時代の荒波にもまれる様子も感じられて二重に楽しめるのが魅力です。

みんなのレビュー

橋ものがたり

読んでみて

藤沢周平の『橋ものがたり』は、江戸の「橋」を舞台に繰り広げられる人間ドラマが詰まった短編集です。藤沢は時代小説を多く手掛けた小説家で、武家もの、大河小説、市井ものなど幅広く作品を残しました。2017年には江口洋介などの主演でこの短編集から3編がドラマ化されています。

橋は老いも若きもたくさんの人々が毎日行き交う場所です。江戸時代、橋は待ち合わせ場所などにも使われていて、この作品ではある人は再会を約束した幼馴染を待ち、傷ついた者たちは橋の上で切なる思いを通わせ…とさまざまな人間ドラマが生まれる場所でもありました。先ほどご紹介した4冊の時代小説のように壮大なストーリーではありませんが、ひたむきに生きる江戸時代の人々の姿に心を打たれます。

みんなのレビュー

橋を渡り出逢う事もあれば別れもある。人と人を繋ぐだけではなく過去や未来も繋がっている。橋がなければ川に阻まれ出逢えなかった事を思うと不思議な縁を感じる。どの短編も素晴らしく、ホッコリしたり切なくなったり。静かに一つの物語が終わる様はまるで映画のラストを観ているよう。

引用元:読書メーター

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