“近未来の世界を覗きたい”ときにおすすめSF3選
ボッコちゃん
読んでみて
日本の子どもたちが最初に触れるSF小説といえば、やはり星新一の作品ではないでしょうか。星新一は生涯で短編から長編まで1000作以上のSF作品を書き、「日本SF界のパイオニア」と言われています。ここでご紹介する『ボッコちゃん』は、自選作品が50篇入った掌編集です。
表題作に出てくる「ボッコちゃん」とは、とあるバーで人気の美人店員。彼女にはある秘密があり、それでも恋をしてしまった男性は…星新一の描く近未来はスマートでユーモアがあるのですが、時折垣間見える毒にやみつきになってしまいます。『ボッコちゃん』の収録作品はどれも短いですし、SF入門にぴったりです。
みんなのレビュー
表題作よりも印象深かったのが「おーい でてこーい」だったけど、今回もゾクっとした。そうそう、一見なんでもないような終わり方のようでその直後にぞわっと来る感じ、星新一さんってこうだったよねーって嬉しくなった。解説が筒井康隆さんっていうのも興奮!
引用元:読書メーター
銀天公社の偽月
読んでみて
『岳物語』などの自伝的小説や『わしらは怪しい探検隊』シリーズなどの紀行エッセイで知られる椎名誠。彼のSF作品『銀天公社の偽月』は、暗くよどんだ終末の世界を独特の語感で描き出した作品です。先行する『武装島田倉庫』の続編でもあります。
この作品は同じ世界観で描かれた7編の連作短編集になっています。脂の混じった雨が降る世界の終末に浮かぶ月は、銀天公社の作業員がゴンドラで浮かべた偽物の月。この世界は私たちの過去なのか、未来なのか、それとも…?聞いたことのない造語がたくさん出てきますが、それでもなんとなくイメージできるのは椎名の言葉のセンスの賜物です。
みんなのレビュー
字面だけで何となく様子が想像できる小道具の数々には椎名特有の語感が光る。自身のトラウマ(閉所恐怖症)や、世界各地への紀行経験を活かして想像力の羽を伸ばしたことが端々から伝わる作品が多かった。
引用元:読書メーター
アルジャーノンに花束を
読んでみて
『アルジャーノンに花束を』は、アメリカの小説家ダニエル・キイスが1959年に発表したSF小説です。発表当時は中編小説だったのですが、後に長編小説に改作されました。日本では2002年と2015年にこの作品をもとにしたドラマが制作され、話題を呼びました。
この作品は主人公のチャーリイ・ゴードンの書く手術経過報告書という形式で進んでいきます。チャーリイは知的障害のある青年だったのですが、あるとき知能を向上させる手術の被験者となりIQ185の天才になるのです。賢くなったチャーリイが理解した、自分の世界はどのようなものだったでしょうか?