涙のお礼

幸い、大きな怪我はありませんでした。でも、もしダンボが鳴いて知らせてくれなかったら、発見が遅れて大変なことになっていたかもしれません。
翌日、いつもより早く動物園に到着した私。ダンボに特別なプレゼントを用意していました。
ファーマーズマーケットで見つけた、手のひらサイズの巨大なリンゴです。
「ダンボ、昨日はありがとう。君が私を守ってくれたのね」
そのリンゴを差し出すと、ダンボは優しく鼻で受け取ってくれました。そして、いつものように美味しそうに食べながら、時々私の方を見て、まるで「どういたしまして」と言っているかのような表情を見せてくれました。
その瞬間、私の目から涙が溢れました。嬉し涙でした。
「本当に…本当にありがとう」
ダンボの小さな目も、なんだか潤んで見えました。
獣医さんからの驚きの報告

それから数日後、定期健診の際に獣医のドクター・スミスから驚くべき報告を受けました。
「エミリー、ダンボの健康状態が劇的に改善しているんです」
「え?どういうことですか?」
「血液検査の結果を見てください。ストレスホルモンのコルチゾール値が、去年の3分の1になっています。それに、免疫力も大幅に向上している」
先生は興奮気味に続けました。
「15年間、彼は慢性的なストレス状態にあったんです。でも、この半年で完全に変わった。これは医学的にも貴重なケースですよ」
ダンボが心を開いてくれたことが、身体の健康にも大きな影響を与えていたのです。
「心と身体は繋がっているんですね」
「その通りです。ダンボにとって、エミリーは命の恩人と言えるでしょう」