15年間人間を憎み続けた巨大象が、初めて人間を信じた瞬間に起きた奇跡

私の決意

出典:wikipedia

その夜、一人暮らしのアパートで、私は天井を見つめながら考え続けました。
ダンボの小さな目に映っていた恐怖。あの表情を思い出すたびに、胸が締め付けられます。同時に、心の奥から湧き上がってくる感情がありました。
「私が変えてみせる」
根拠のない自信でした。でも、その時の私には、それしかありませんでした。
翌朝、いつもより30分早く動物園に到着した私。誰もいない象舎で、檻の前に小さな椅子を置きました。
「おはよう、ダンボ」
5メートル離れた場所から、私は静かに声をかけました。ダンボは警戒しながらも、立ち上がることはありませんでした。
「私、エミリー・ジョンソンって言うの。今日からよろしくね」
一方的な会話が始まりました。

毎日の小さな挑戦

出典:Midjourney

最初の1週間は、マイクさんが私の研修につきっきりでした。
「餌はこうやって檻の向こうに投げ入れるんだ。絶対に手を伸ばしちゃダメだよ」
ダンボの食事は、リンゴ、ニンジン、干し草、そして象用の固形飼料。毎日200キロ近い量を食べるのですが、私たちが近くにいる間は、決して食べようとしません。
「人間が見ている前で食事をするのは、彼にとって危険な行為なんだ」マイクさんが説明してくれました。「野生動物にとって、食事中は最も無防備な時間だからね」
でも私は、毎朝決まった時間に椅子に座り、ダンボに話しかけることを続けました。
「今日はいい天気ね。散歩にはぴったりよ」
「あ、そうそう。昨日ディスカバリーチャンネルで象のドキュメンタリーをやってたの。アフリカの象の家族の話だったんだけど…」
最初はただの独り言でした。でも、段々と、ダンボが私の声に反応しているような気がしてきました。私が話している間、彼の耳がわずかに動くのです。

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