ダンボへの最高のプレゼント

1年が経った頃、園内で大きなニュースが発表されました。
「ダンボに、お嫁さんが来ることになりました」
隣の州の動物園から、メスのアジアゾウ「ルナ」がやってくるというのです。
「でも、大丈夫でしょうか?」私は心配でした。「ダンボは人間との関係は築けたけれど、他の象とうまくやっていけるか…」
マイクさんが安心させてくれました。
「大丈夫だよ。象は本来、群れで生活する動物だ。きっとダンボも、仲間を求めているはずさ」
ルナがやってきた日、ダンボの反応は私たちの想像を超えるものでした。
最初は警戒していたものの、数日でルナを受け入れ、まるで昔からの家族のように寄り添うようになったのです。
「ダンボ、よかったね」
私がそう声をかけると、ダンボは嬉しそうに鼻を振り、まるで「ありがとう」と言っているかのようでした。
新しい命の誕生

さらに1年後、奇跡が起こりました。
ルナに赤ちゃんが生まれたのです。
「エミリー!大変だ!ルナが産気づいてる!」
マイクさんの興奮した声で、私は象舎に駆けつけました。
象の出産は約22ヶ月の妊娠期間を経て行われる、とても珍しい出来事です。
そして、その感動的な瞬間に立ち会うことができました。
小さな象の赤ちゃんが生まれた時、ダンボは信じられないほど優しい表情で、そっと赤ちゃんに鼻を近づけました。
「パパになったのね、ダンボ」
その光景を見た瞬間、私の目には涙が溢れていました。
人間を信じることができなかった象が、今では家族に囲まれて幸せそうにしている。これ以上の喜びはありませんでした。