10年目の節目

今年で、ダンボと出会ってから10年になります。
動物園では、「ダンボ信頼関係構築10周年記念イベント」を開催してくれることになりました。
「10年前には想像もできませんでした」
園長がイベントの挨拶で言いました。
「一頭の象と一人の飼育員の物語が、これほど多くの人に希望を与えるとは」
イベント当日、全米から動物愛好家や飼育員の方々が集まってくれました。
「エミリーの話を聞いて、諦めかけていた動物との関係づくりに、もう一度挑戦しようと思いました」
「うちの犬が人を怖がっていたのですが、ダンボの話を参考に、時間をかけて接したら、今では家族の一員です」
そんな声をたくさんいただき、私の胸は感謝の気持ちでいっぱいになりました。
次世代への継承

現在、私は新人飼育員の教育にも力を入れています。
「エミリー先生、動物が心を開いてくれません」
悩む新人さんに、私はいつもダンボの話をします。
「私も最初は同じでした。でも、焦らずに、相手のペースに合わせることが大切です」
「どのくらい時間がかかりますか?」
「分かりません」私は正直に答えます。「でも、きっと相手は見ています。あなたの真心を。だから、絶対に諦めないでください」
若い飼育員たちの真剣な眼差しを見ていると、きっと次の世代も素晴らしい関係を築いてくれるだろうと確信できます。