衝撃の現実

象舎への案内の途中、マイクさんの足取りが急に重くなりました。
「エミリー、実は象舎には少し…特殊な事情があるんだ」
象舎に近づくと、まず目に飛び込んできたのは、立派な屋外展示場でした。広々とした敷地に人工の池、そして大きな日陰を作る人工岩。設備は申し分ありません。
でも、そこにいたのは、私が想像していた象とは全く違う姿でした。
衝撃の過去

檻の最も奥の角で、まるで自分を隠すようにうずくまるダンボ。私たちの足音を聞くと、明らかに身体を硬直させ、小さな目でちらりとこちらを窺います。そして次の瞬間、さらに奥へと後退していきました。
「どうして…?」
私の声は震えていました。ナショナル・ジオグラフィックで見た象たちは、もっと堂々として、好奇心旺盛で、人懐っこい存在のはずでした。
「彼はサーカス出身なんです」