心を閉ざした理由

マイクさんの声が、急に低くなりました。
「詳しいことは分からないけれど、ひどい扱いを受けてきたらしい。動物愛護団体に保護されてここに来たのが15年前。でも、未だに人間を見ると…」
ダンボが私たちから最も遠い場所で、背中を向けて座り込む姿を見て、私の心は張り裂けそうになりました。
過去の傷跡

その日の夕方、マイクさんがダンボの過去について詳しく教えてくれました。
「彼がここに来た時の状態は、本当にひどかった」
マイクさんの目が遠くを見つめます。
「体重は今より1トンも軽くて、鼻にはむちで叩かれた古い傷跡があった。足の甲には鎖で縛られた跡もね。でも一番深刻だったのは、人間を見た時の反応だった」