マイクさんの定年

去年、お世話になったマイクさんが定年を迎えました。
送別会の日、マイクさんは私の手を握って言いました。
「エミリー、君と出会えて本当によかった。15年間、ダンボのことで悩み続けてきたけれど、君が来てくれて全てが変わった」
「マイクさんこそ、15年間諦めずに世話を続けてくださったからです。私は最後のほんの少しお手伝いしただけです」
「いや、違うよ」マイクさんが首を振りました。
最後の挨拶

「君は愛情の本当の意味を教えてくれた。愛情とは、相手を変えようとすることじゃない。相手を受け入れることなんだって」
最後の勤務日、マイクさんはダンボに挨拶をしに来ました。
ダンボは、いつもより長い時間、マイクさんの前に立っていました。まるで、長い間の感謝を伝えているかのように。