この記事を書いた人
某週刊誌の元記者
Rekisiru編集部、東条りな(とうじょうりな)。新卒で某有名週刊誌を運営する出版社に入社。8年勤務したのち結婚を機に退社。芸能ネタとネットゴシップ収集が生き甲斐であり趣味であり仕事。現在はWeb系メディアを中心にメディア編集業に従事。
運命を変えた出会い

私たちの動物園には、誰も近づくことができない象がいました。
「ああ、また新人か…」
その象は、制服を着た人間を見るたびに、まるでため息をつくかのように長い鼻を地面に垂らし、重い足取りで檻の奥へと消えていきます。その名前は「ダンボ」。体重5.2トン、推定年齢32歳のアジアゾウでした。
悲しい過去

彼には、15年間誰とも心を通わせたことがないという、悲しい記録がありました。歴代の飼育員たちは皆、最初こそ「今度こそは」と意気込むものの、数ヶ月もすると諦めの表情でこう言うのです。
「あの象は、もう人間を信用することはないだろう」
でも、その常識を覆す日が来ることを、当時の私たちは誰も知りませんでした。